Episode 3

無ければ自分で作る。品質にこだわり続ける不屈のクラフトマンシップ

過去の経験からゲイリー・ルーミスにはわかっていた。ブランクの品質と耐久性は、グラファイト・マテリアルをマンドレルにロールする際のマシンの能力に大きく依存していることが。

自らの名を冠したG.Loomis社を1980年に創業した時、ゲイリー・ルーミスは、まず生産設備の刷新から着手した。幸いにもキャベラス社の親友デニス・ハイビーから資金提供を受け、ゲイリーは、新たな生産ラインを完成させることが出来た。しかも、同時にキャベラス社から1日280本のブランクオーダーを受けた。ゲイリーは、その注文を追い風に生産を拡大していった。多くの人はゲイリーをブランク製造のエキスパートと認識しているが、その認識は正しくない。ゲイリーは、ブランク製造だけではなく、ブランクを製造するための生産設備作りに関してもエキスパートなのである。以下はゲイリーの言葉である。

新しい生産設備のデザインはまさに試行錯誤の連続だった。まず、私は、このインダストリーから学んだ全て、機械工として学んだ全て、そして、ブランク作りにおける過去の経験の全てを注ぎ込んだ。ブランク作りには、グラファイト・マテリアルを鉄製の芯であるマンドレルに高い圧力で巻きつけていく工程が欠かせない。当時、業界標準とされていたこの巻きつけ圧力は40psi(psi:pound per square inch圧力の単位)だった。

グラファイト・ペーパーをマンドレルにロールする工程において、特に意識しないと、グラファイト・ペーパーとグラファイト・ペーパー上に塗られた樹脂の間に小さな気泡を閉じ込めることとなる。この小さな気泡は様々な問題を引き起こす。だから、この気泡を取り除くために圧力が必要となるんだ。でも、口で言うほど簡単なことじゃない。なぜなら、グラファイト・ペーパーをロールする時、ミクロで見ると、ペーパーの底部は縮み、表面は伸びているからだ。この異なる現象をうまくハンドリングしていく必要があるんだ。

フープ・ストレスと言われている張力がある。円筒形の物体に圧力が働く時、その断面は円から楕円へと変化し、同時に元に戻ろうとする。この力がフープ・ストレスだ。チューブラー構造のブランクの断面を想像してほしい。圧力を加えると、円は歪み楕円となる。そして、さらに圧力を加え続けていくとブランクは折れる。実はこの折れは、ブランク内に残された小さな気泡が原因なんだ。気泡は、ブランクとして本来備わっている復元力をも大幅に減退させる。だから、より高い圧力でロール出来る設備が必要であったし、その生産設備そのものをデザインし直す必要があったんだ。

当時、私がデザインしたそのマシンは、最大で250psiでカーボンペーパーをロールすることが出来た。しかも、ブランクの一部ではなく、全体に同じ圧力を均等にかけることが出来たんだ。だから、当時のG.Loomis社では、どのグラファイト・ロッドよりも軽くて、強くて、張りがあって、感度が高くて、しかも、耐久性に優れたブランクが作れたんだ。

現在、ノース・フォーク・コンポジット社で使用するロールマシンは、エンジニアの日々のバージョンアップにより、精度とパワーがさらに倍以上に高められた業界最高レベルのプレス能力を備えたものだ。仮に同じ弾性率のカーボン・マテリアルを使っていたとしても、他社と比べて仕上がりが全く異なるのは、このエンジニアリング・テクノロジーがあってこそなのである。

マテリアルからエンジニアリング・テクノロジー、そして、イクイップメントまで、ゲイリーは、今もなお、より良いものを日々追い求めているのである。

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